第251章 〈After atory〉紲 ※
それからまた少し作業をして……夕焼けが庭を朱く染め始める頃、ナナは――――うとうとと眠っていた。
白銀の髪が朱に染まり、強い夕日がナナの影を濃くする。
日常生活に支障はない程度のことだが――――……ナナは徐々に体力がなくなってきている。自分の寿命を少しでも永らえようとでもするように、よく……眠りにつく。
強すぎる朱の光が、色彩鮮やかな花々もナナも何もかもを一色に染めて……まるで絵画の中にナナを貼り付けてしまったように見えて、怖くなる。
俺は手元の用具類を手早く片付けて、土に汚れた手を綺麗に洗って……眠り姫を起こしにいく。
「――――………。」
ナナの側に寄るとすぅすぅと寝息が聞こえて、胸を撫でおろした。
茨が這う庭で眠るナナは変わらず綺麗で……、そっとその唇に触れるだけのキスをする。
「――――ナナ、家に入るぞ。」
「…………ん………。」
ナナが瞬きを数回して、夕陽にくらんだ目を薄く開いた。
「………寝ちゃってた、私……。」
「かまわない。疲れたのか?――――気分は?」
ナナの頬を撫でながら容態を問う。
「………気分は……最高です。」
「あ?」
心配させやがって何が最高だ、と怪訝な顔を向けると、ナナはヒヒっと悪戯に少女のように笑う。
「――――だって目が覚めたらリヴァイさんがいる。」
「――――………。」
「夢見てたの、ずっと。あぁそうだそれに……ここは小さな茨のお城みたい。」
ナナはじゃれるようにクスクスと笑いながら、俺に手を伸ばして抱擁を乞い、キスをねだる。
俺はそれを叶えてやろうとナナを抱き上げてキスをする。
「――――今のうちに眠れて良かったじゃねぇか。」
「え?」
「寝れねぇかもしれねぇぞ?五日間。覚悟しとけ。」
「エロ兵長。」
「うるせぇ、もう兵長じゃねぇ。」
「お腹すきましたね。」
「ああ、飯にするか。」
「はい!」