第21章 耽溺
「………身体を温めると、少しマシです。」
「……そうか。」
私はリヴァイさんの顔を覗き込んで、もう一度言う。
「身体を温めると、マシなのですが?」
「なんだ。」
「『体温貸せ』、です。」
リヴァイさんを押し倒すようにしてその胸に飛び込み、兵士長と兵士の距離を埋める。二人して重なり合って、ソファに倒れ込んだ。
「………『貸すもなにも、俺はお前のものだ。』」
リヴァイさんの返答に、私は思わず目を丸くする。
その意味を理解した私は、嬉しさと愛しさでまたリヴァイさんに抱き着いた。顎をすくい取られ、唇が重なる。
今まで過去のやりとりを私が覚えていても、リヴァイさんの口から出て来ることはあまりなかった。
私たちしか知りえないその些細な言葉遊びに笑い合う、その時間は何にも代えがたい、安らぎと幸福に溢れた時間だ。