第251章 〈After atory〉紲 ※
「――――悔しいが思ったよりいいところだな。」
「悔しい?」
「――――これはロイが所有している、エイルにいずれ贈るつもりで買ったオママゴト用の家だそうだ。」
「えっ。」
確かにエイルが乳児の頃からことあるごとに馬とか土地買おうとしてたから……ついにか……、とあまりもう驚きもしなかった。まぁ……ロイが真面目に働いて稼いでいるお金をどう使おうと私が口を出すことではない。
……というかオママゴトって小規模でやるからオママゴトなのであって、家買っちゃったらもうそれはオママゴトではなく家事になっちゃうんじゃ……なんて思いながらも、なんだか……ロイらしくて笑ってしまった。
「エミリーもクロエも止めたそうだがな。買っちまったもんは使わねぇと。掃除も兼ねてここに滞在しようと思うが……問題ないか。」
「問題……あるわけないです……っ……!素敵……絵本に出てくるお家みたい……!」
「――――嬉しいのか?」
「当たり前です!!」
「そうか。」
ようやく馬車から降りて嬉しさを体で表現できる、とぴょんぴょんと跳ねてしまう。そんな私を柔らかな視線で見つめながら、また手を差し伸べてくれる。
「行くか。――――たまには別の巣も、いいだろ。」
「はい!!」
リヴァイさんの手をとって、2人肩を並べてその小さな扉をくぐった。