第251章 〈After atory〉紲 ※
「あ?」
「子供じゃないですし寝ろと言われても。」
「嫌なら目隠しするか、トぶまでイかされるか―――――」
「寝ますすぐに。」
「わかりゃいい。」
わかってはいるけど。
敵いっこないって。
でもこんなやりとりさえ嬉しくて、小さな笑いがこらえられない。
リヴァイさんがぐい、と私の頭を自らの膝に誘導する。なんだか恥ずかしいけれど……下から見上げるリヴァイさんも好き。馬車の窓から吹き込むそよ風に黒髪が揺れる。
さらりとして綺麗……。
もし……もし、リヴァイさんとの間に赤ちゃんが生まれたら……リヴァイさんに似た黒髪と黒い瞳になるのかな。
――――だとしたらどんなに素敵だろう。
そんな妄想をしながら、そっとリヴァイさんの頬に触れると、ぶっきらぼうな言葉とは裏腹に驚くほど愛情深い目を向けてくれる。
「寝てねぇじゃねぇかよ。」
「……だって、もったいなくて。」
「なにがだ。」
「リヴァイさんと2人でいる時間に、眠っちゃうのが。」
「………お前は………」
「――――好きです。」
「ああ。」
「――――永遠になんてことは……言えないけど……できるだけ一緒に……いたいです……」
私の体の病はきっと、完治することはない。
だからきっと……私がこの世からいなくなるほうが、きっと早い。私の頭の中を読んだように、リヴァイさんはふに、と私の唇を指でつまんだ。
「――――五日間、2人きりだ。」
「………?」
「何をしようか、ナナ。」
「………!」