第21章 耽溺
訓練に参加する絶対数が増えたことにより、訓練中の負傷者の手当も私一人では追いつかない。
100期生の中でも、戦闘にあまり向かない小柄な女性兵士を中心に医療班の礎となりそうなチームを作ってはどうかとエルヴィン団長に相談をもちかけた。エルヴィン団長は快く承諾してくださり、さっそく基礎的な救護を教え込み、彼女たちと手分けして訓練中の負傷者の手当に奔走している。
その日も彼女たちが提出してくれた手当記録を確認し、まとめ終わったころには時計の針が0時を過ぎていた。
遅い時間に疲れを癒すためのシャワーを浴びて、私は胸ポケットに入ったメモを開いた。
“日が変わったら、部屋に来い”
前は、リヴァイさんからのメモだと勘違いして…ひどい目にあったっけ。
でも今回は訓練中に本人が私の胸ポケットに入れて行ったので、間違いない。私は一人思い出し笑いをしながら、リヴァイさんの部屋の扉をノックした。
「――――ナナです。」
「…………入れ。」
扉を開けて中に入ると、私服に着替えたリヴァイさんの姿があった。
「紅茶、淹れましょうか?」
「――――いやいい、酒にする。」
リヴァイさんは小さなグラスに琥珀色の液体をボトルから流し入れた。
「お前はどうする?」
「私は……やっぱり紅茶がいいです。」
1人分の紅茶を淹れ、ソファに座るリヴァイさんの横に、兵士長と兵士の間隔を保って座った。