第21章 耽溺
「そんな時にあの……壁の崩壊があって、両親は―――――亡くなって………この作戦への参加も、言われるがままここに……来たんです。どうせ、言われるがまま生きて、言われるがまま死ぬんだろうと―――――。そしたら―――――あまりに、この人が、楽しそうに……話していて………。」
「…………。」
「俺になかったものを、この人が持っている………俺が憧れたような生き方を、自分自身に悔いのない生き方を………この人が見せてくれている気がして。気付いたら、ここに、来ていました。」
「―――――ハンジさんは、いつだって、周りに力を与えて下さるんです。私も、何度も救われて。だから、ハンジさんのためならなんだってしたい。そんな気持ちです。」
「ナナさんは、いつ調査兵団に?」
「私はかれこれ半年になります。まだまだ、皆さんの役に立てるには程遠いですが。」
「ナナ!!ここのさ、これこれ!!この部分さ、すんごい興奮するよ!!ちょっと解説してくれない…?!この考察に辿り着いた経緯とかさ……!」
「はい、喜んで!」
私は無邪気なハンジさんにつられるようにして、研究の考察についてたくさんの話をした。
途中から話を聞いていたモブリットさんも時折考えを話してくれるようになり、彼の表情が少しだけ明るくなった気がした。
最初モブリットさんを見た時、なんて無表情な人だと、心を失ってしまったのかと思った。けれど、私が微笑みかけた時の彼のその表情は、確かに光が宿っていた。
ハンジさんの力はすごい。やっぱり尊敬してやまない。
「これからもここで会えること、楽しみにしています。モブリットさん。」
「………はい。俺もです。」