第249章 〈After story〉証
エイルはこれからどんな風に成長していくのか。
歳をとって俺が守り切れなくなったら、誰が守ってくれるのか……慎重に見極めていかねぇと。こんなに愛おしい存在を、適当な男に任せられるはずがねぇ。
「――――とりあえずくだらねぇ馬の骨は片っ端から早めに潰しておかねぇとな。」
「リヴァイさん?とんでもないこと言ってましたけど大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。エイルもお前も俺が守ってやる。」
「ふふ、はい……。私も微力ですが、あなたを守ります。あなたを幸せにしたい。」
「えぇっとね、じゃあ……お母さん!」
「はい、神父さま。」
ナナはふふふ、と温かな微笑でエイルの目を見て話を聞く。
「お母さんはこれからもずっと、永遠に……リヴァイさんを愛し続けるとちかいますか?」
エイルの言葉を吟味するように、ナナは一度静かに目を閉じた。窓から差し込む陽光が絡んだナナの長いまつ毛に光が散って……その目を開く。
そして俺だけをその目に映して、これ以上なく美しく微笑んだ。
「誓います。この一生をあなたに捧げることが、こんなにも幸せです。――――リヴァイさん。」
「――――………。」
愛おしい。
これ以上の言葉が見つからない。俺が知らないだけか、この想いの熱量を的確に表す言葉のほうが不足していて……なんとも言い表すことができない。
ただ綺麗で、ただ愛しくて、それを手にした今が夢じゃないかとすら思うほど……。
あぁ俺は―――――この世で最愛の二人に間違いなく愛されていて、間違いなく、この上なく、今…… “幸せ” なんだ。
「それではゆびわの交換を!」
エイルが差し出したリングを手にとり、つい先日のロイとエミリーの結婚式での作法を思い返す。
「――――ナナ、左手出せ。」
「はい。」
ナナの華奢な手をとって、その左手に指輪を通す。その時ナナは、まるで初恋でも実らせた乙女のように頬を赤らめて、嬉しそうに左手を見つめていた。
俺の指輪を手に取り、ナナもまた俺の左手の薬指に指輪を通す。