第249章 〈After story〉証
「――――粋な計らい、心から感謝する。」
「気に入っていただけて良かった!!兵士長のことだから、『頼んでねぇ、作り直せ』と言われたらどうしようとハラハラしてましたよ!!」
どんな奴だと思ってんだこいつは……俺のことを……。
店主は嬉しそうに帰っていった。指輪本体の値段よりも埋め込んだブラックダイヤモンドやサファイヤの石の方が高くついたんじゃねぇかと、その分は追加で支払うと言ったんだが……どうしても “これは気持ちだ”と言って受け取らなかった。そんな気前の良さで商売大丈夫なのかと思いもしたが、あの店の繁盛具合を見るに、おおよそ金持ち相手にうまくやってんだろう。
そうこうしていると学校からエイルが帰って来て、ナナと同じ顔で目を輝かせて指輪を見た。そして面白い提案をしてくる。
「私、神父さん役やる!!」
「神父さん役?」
ナナが首をかしげると、エイルは俺とナナをリビングの光の差し込む窓の前に立たせた。
「こないだロイ叔父さんのけっこんしきで見た!え~っとね……。二人は向かい合って手を重ねて?」
「………あぁそうだったな……こうか?」
俺の手の上にナナが手を重ねる。
最初は、エイルのおままごとに付き合ってやってる気でいたんだが、エイルがあまりに舌ったらずにそれっぽく進行するから俺もナナも自然と顔がほころぶ。
「リヴァイさんは……元気な時もそうでないときも、お母さんのことをずっと愛し続けるとちかいますか?」
「――――あぁ、誓――――」
「あっ待って!!」
「なんだよ。」
突然エイルが慌てたように俺の言葉を遮って、こほん、と咳払いをした。