第249章 〈After story〉証
数週間後、店主がわざわざ俺たちの家に揃いの指輪を届けに来た。包みを開けて箱を開けたナナがまた、目を輝かせた。ベルベットの生地のリングピローに置かれた二つの環。
「わぁ……!ありがとうございます!」
「いえいえ、こちらこそ。調査兵団の皆さんあっての……今の私たちです。あの、だからね……いらない世話かも、とも思ったんですが……」
「なんだ。」
「??」
店主がリングを手にとって、その内側を俺達に見せた。そこには、ナナのリングの内側には小さなブラックダイヤモンドが埋め込まれていて “リヴァイ” と俺の名が彫られている。
ナナが驚いた顔で俺の指輪の内側も見たい、と顔をずい、と寄せてくる。
一緒に見つめたその細いリングの内側には……俺の指輪には “ナナ” と彫られていて、その横にはナナの目の色と同じ色をした、深く青い色の石が埋め込まれている。
「――――あなたたちは私の夢だ。仲睦まじく……本当の相思相愛でいつまでも離れない永遠の番。そんな風に見えたので……。」
「――――………。」
「――――………。」
「命は永遠じゃない。だから……分かつ時も来るでしょう。でも、せめてこの指輪に……魂が宿れば、ずっと一緒にいられる。」
店主の言葉を聞いたナナが、ぽろりと涙を一粒こぼした。
いつか来る分かつ時を怖がるナナのその気持ちを和らげてくれる、店主の計らいに俺はただ素直に有難いと思った。