第249章 〈After story〉証
「……そうだな、俺はシンプルなものがいい。」
「はい!私も同じです!ゴールドかシルバーならどちらが好きですか?」
「シルバーだな。お前に似合う。」
「……理由が、リヴァイさんらしくて……嬉しいです。」
ナナはまた、幸せそうに笑う。
そして結果、シンプルなシルバーのリングをナナと俺は同時に指さした。
『これ。』
重なった言葉に、目を合わせて笑う。
「気が合われるんですねぇ、さすが!はいはい、ではこちらで……サイズを見ましょうね。こちらから、サイズを選んでいただけますか?仕入れ状況とお渡しできる日を確認して参りますので。」
店主がいくつかのサイズのリングを出してきて、どれが合うのか指にはめてみろと言う。指輪というものを指に通すのも初めてで、とりあえず合いそうなサイズのものを指でつまんでみると、ナナが俺の手に手を重ねてきた。
「――――リヴァイさん指輪するの、初めて?」
「ああ。」
「初めては、私がやりたい。」
そう言って、照れたようにはにかんだ。
――――あぁもう、もう……いちいちだなこいつは。
ナナは俺の手から指輪をとると、壊れ物を扱うように慎重に俺の左手の薬指にリングを通して……にたりと満足気な瞳を俺に向けて、悪戯な少女のような顔で言う。
「またもらえた、リヴァイさんの初めて。」
「そうだな、お前は俺の初めての妻だしな。」
「うふふ。」
「なんだ。」
「………嬉しい、なぁ………。」
俺の手をきゅ、と握ってそこに頬ずりをする。
エイルと同じ仕草だ。