第249章 〈After story〉証
「あぁそういえば黙っていたが。」
「??」
「そのブラックダイヤモンドの意味だが。」
「あっ、聞きたいです……!」
「それはな――――――」
「お待たせしましたぁ!!!!」
最高にいいタイミングで店主が帰ってきやがった。
空気を読め。
「あっ取り込み中ですか?」
「………いやいい。」
若干ムスッとしつつも店主が持って来た数々の指輪に目をやる。ナナがはぁ、と見惚れるようなため息をついて覗き込んだ。その横顔はまるで四葉のクローバーを見つけた時のエイルのようで、ふっと温かい感情が沸いてくる。
「どれがいいんだ?ナナ。」
「私は……どれも素敵で、困ってしまいます……。」
「ゆっくり決めていい。」
俺がそう言って腕を組むと、ナナは俺の顔を覗き込んだ。
「リヴァイさんは、どれがいいですか?」
「――――俺は――――」
「どれでも、は、なしです。ずっと……身に着けてもらいたいから、一緒に選びたいです。あと……リヴァイさんの好きなものを私も、身に着けたい。」
―――あぁもう、ほら見ろ、可っ愛いなぁおい。
はぁ―――――、とため息をつきつつ目元を手で覆う。店主にこんなにやけた顔を見られるのは癪だからな。
「いやぁもう幸せが滲み出てると言いますか!!愛されてますね!!旦那!!」
店主がほくほくとした顔で言いやがるその言葉が聞きなれず、耳にとまった。
愛されてる。
そうだ、俺は愛されているんだ、この――――……俺が愛してやまない女に、心の底から。
目元を覆った手をとってナナの方を見ると、俺だけをその目に映して幸せそうに、笑っている。