第249章 〈After story〉証
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本当は午前のうちに済ませようと思っていたんだが……ナナが誘ってきやがるから、まんまと愛欲に塗れたセックスに耽っちまった。
気づけばもう、正午だった。
そこらの妻帯者の兵士が話してた話と全然違うじゃねぇか。
よく『昔は可愛かったのに可愛げがなくなる』だの、『セックスなんてしなくなる』だの、男にとっちゃ結婚は墓場だ、みてぇな話を小耳に挟んだが……。
見せてやりてぇよ俺の妻を。
可愛げがなくなるどころかむしろ増してる。
そしてもはや可愛いとかいうレベルじゃねぇだろう。
過ぎるだろう、可愛いが。
年々美しさに磨きがかかっていきやがるし……そして何より、苦手な家事を一生懸命やろうとする姿が健気で……愛らしい。
ナナが『妻という言葉が気に入っているだろう』と偉そうに言いやがったが、図星だ。
俺の女、じゃない。
合法的に認められた俺の番だ。
血の繋がりも何もないのに最も近いとされる存在。
それが俺は柄にもなく……嬉しいんだと気付いたのは、つい最近のことだ。
そして事後にナナが話したそれは……俺にとっては、息の詰まるような話だった。
子孫を残したい、なんて大それた願望はねぇが……ナナの中に、自分の欲望を、熱を……ぶちまけてやりたいと思ったことは、何度もある。
クソみてぇな歪んだ欲だ。
だが何よりもナナの体が大事で……それを脅かす危険性があるのならそんな欲は抑制することができる。
この世の誰よりも何よりもお前が大事だと……
何度言えばわかってくれるのか……
俺の、可愛い妻は。