第21章 耽溺
昼食時。
食事をとっていると、見るからに新兵で、小柄な女の子が目についた。一人で、どこに座ればいいのか迷っているのか、きょろきょろと不安そうだ。なんだか放っておけず、私は立ち上がってその子に声をかけた。
「席探しているなら、こっちで一緒に食べませんか?」
「っ………!!………わぁ…………やっぱり………」
その女の子は私を見るなり、硬直したように目を見開いて固まった。
「………?どうしたの………?」
「い、いえっ………あまりに綺麗で、びっくり……してしまって………!」
「………それは、照れるなぁ……でも、ありがとう!嬉しい。ね、こっちに来たら?」
「は、はいっ!」
女の子は私の正面の席についたが、かちこちに固まったまま食事をとろうとしない。
「食べないの?」
「はっ、はい、いただきます!!」
「………えっと、エミリーさん?」
「えっ、名前………?!」
「覚えてる。可愛い名前だね。私はナナ。よろしくね。」
私よりも少し年下の、まだあどけなさが残る彼女は顔を真っ赤にして少し肩を震わせて、嬉しそうだった。
食事をしながら、ぽつりぽつりと話してくれた。
少し医療を勉強していたことがあること、歌が好きだと言うこと。
私たちは共通の話題で話が弾んだ。
それからエミリーは私の後をついてまわるようになった。なんだか、妹ができたみたいで和やかな気持ちになる。
他の100期生のみんなもこんな私を慕ってくれ、また私の中で大切な人たちが増えていった。