第248章 〈After story〉腕 ※
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「――――そういえば昔、思った……。」
「あ?」
久方ぶりの激しい情事のあと、体を起こすことすらできないナナを腕に抱いて、眩しいくらいの月明かりに目を細める。ナナが月を見るたびにあいつを想っていることは知っている。
――――だから、あえて見せつけてやる。
月明かりをカーテンで遮らさせてなんかやらない。
月明かりの下でこそナナはより妖艶に美しく乱れるというのもあるが、エルヴィンに想いを馳せたとしても、今共に生きているのは俺だと――――……嫌ほど思い知らさせるために。
「――――リヴァイさんに抱かれてる今この時に、死ぬなら……それも、いいかもって……。」
「馬鹿野郎、俺は嫌だ。断固拒否する。」
「――――ふふ……。でも私は、死ぬその瞬間までリヴァイさんに愛されて、この腕に抱かれていたい。」
「よく死にかけるてめぇが言うと、シャレになんねぇんだよ。」
「そうそう、一度死にかけたら死ににくいって聞いたことがあるので……、きっと私もリヴァイさんも、長生きできますよ。」
「――――お前となら、長生きも悪くない。」
「でしょう?リヴァイさんは……何をしたいですか?これから。」
「なに……?」
「はい、したいこといっぱいしましょう?私ももっと元気になりますから!」
「なにって……そりゃお前、セッ――――」
「それ以外にないんですか。」
ナナが俺の頬をむぎゅ、とつねるが、その手をとって今度はナナの鼻をむぎゅ、とつまむ。
「あ?散々さっきまで欲情しまくってやがっただろうが、偉そうに。」
「う………。」
頬を染めて恨めしそうに俺を睨む。
そういやなかなかクる絵面だったな、ナナが自慰に耽るのは。