第248章 〈After story〉腕 ※
「――――んっ……、あ……リヴァ……イ、さ……っ……!」
ナナの鼻にかかる欲情したような甘い嬌声が耳に届いた瞬間、心臓が強く収縮して血液を全身に送っていく。そしてそれが下半身に集中して、久方ぶりの出番を待ちきれないように服を押し上げるほどの質量で膨張しているのがわかる。
「―――――ナナ、駄目だ……抱く。」
興奮のあまりにはぁ、と息が跳ねる。
荒げた息を整えながら言うと、想定外の言葉が返ってきた。
「えっ、あっ、どうしよう……。」
「あ?どうしようってなんだ。嫌なのか。」
ナナはおろおろと困惑したように目を泳がす。
なんだ、生理とかだったか?
それとも病の関係で医師から禁じられているとか……冗談じゃねぇが、ナナの言い分は聞いてやらねぇと。いくら夫婦間であってもナナの意志は大事にしたい。
「なんだ。無理はしなくていい。言え、ちゃんと。」
「――――………っ……。」
体が硬直した。
ナナが、ぽろ、と涙を一筋流したから。なんだ、やはり応えられない理由があるのか。ナナの言葉を待つと、ナナは手の甲で涙を拭って言った。
「――――よ、かった……っ……。」
「――――あ?」
「………あの、もう……私、して……もらえないかと、思っ……っ……。」
「あ?」
なんだ、どういうことだ一体。
ナナは顔を真っ赤にしながら一生懸命説明するように話した。
「リヴァイ、さんが……全然、あの……したいって、言わないから……。」
「…………。」
「もう、抱いてはもらえないの、かな……っ……て……」
「…………。」
「マッサージも、私の体を気遣って……なのに、私だけ厭らしいことばっかり、考えて……しまって……リヴァイさんの好意をまた無下に………」
「いや、お前『それ以上はダメ』だの焦らそうとしてやがったじゃねぇか。」
まさかそんなことを思っていたとは思わず、ふと湧いた疑問をナナにぶつけてみるとまたクソほど愛らしく真っ赤な困り顔を背けて言った。