第248章 〈After story〉腕 ※
「ちが……あれは、それ以上されたら……私、我慢できなくなっちゃう、から……。意地悪に触れるだけで……最後まで、しないなら、それ以上……しないで、って……ことで……。」
「――――………。」
「だから……どうしよう、は……っ、嬉し……くて……、でも、乱れすぎてしまいそうで、頭も心臓も爆発、しそうってこと、です……。」
――――なんだこの不器用さは。
そしてなぜ自己完結しようとしてるんだこいつは。勘違いからのすれ違いにもほどがあるだろう。
「――――したいならしたいと言えばいいものを。」
「……だって……貞淑な妻でいたかったから……。」
「貞淑な妻……まぁ確かに、悪くねぇ。」
「……ほら……やっぱり……。」
「――――その貞淑な妻が、俺の前でだけ乱れるからそそるんだろうが。」
「えっ。」
俺の言葉にナナは目を丸くした。
「――――どうして欲しいナナ。言え。欲しがれ。」
ナナの体をそっとソファに押し倒して、顔を包み込むように撫でながら囁く。
「お前の望みはなんだって叶えてやる。言えよ。」
「――――……抱いて……。」
「――――どんなふうに?」
耳元で吐息を吹き込むように、低く囁くとナナはぴくん、と体をよじる。
「………っ………めちゃくちゃに、激しく……愛して……ほしい……。」
「――――知らねぇぞ。後悔するなよ。」
「――――あっ……。」
服の上からそっと胸に手をあてがってふに、とそれを掴んで、その行為の始まりを告げるように唇を食んで舌を差し込み絡め合う。