第247章 〈After atory〉虹
「ねぇリヴァイさん、わたし上手に紅茶淹れたよ!」
「そうか、偉いなエイル。俺にも淹れてくれるか?」
「うん!!」
「あいつに淹れた紅茶よりももっとうまいのを頼む。あいつよりも俺は味がわかる男だ。」
「??うん!!」
「いちいち一言余計なんだよあんた。」
兵長はエイルを降ろすと、戸棚に手を伸ばすナナさんの方へと歩み寄って、今度はナナさんを抱き上げる。
「あ、ありがとう。」
ナナさんは当たり前のように戸棚から菓子の箱を取り出して兵長に笑みを向ける。
―――――え、ナナさんを抱き上げる必要ないよな?兵長が箱とればいいんじゃ??
「用意してくれたのか。すまないな。」
「うん、だってアーチさんが来るの楽しみで……!」
「そうか。今日は特に顔色がいいな。あいつが理由だとしたら少し腹立たしいが。」
「あ、えっとね……うん、あ、とりあえず降ろしてもらえますか?」
「お前の補充がまだ済んでないから駄目だ。」
そして用は済んだのに降ろさない。
ナナさんを強く抱いて首元に顔を埋めてる。元部下が家に来てるんだぞ、ちょっとは遠慮しろってこっちのセリフだ完全に。
「あ、のっ……!変な空気になるので!お、ろして……!」
「見てねぇだろ。」
――――見てるよ完全に。
俺が帰ってからやれよ。
これは……ナナさんはもう一生この男から放してもらえないだろうな。
俺の今日の発見は、元人類最強は愛した女へのデレ度も最強ってことだ。
そんな兵長に困った顔をしながらバタバタと身をよじるナナさんの手から菓子の箱を受け取り、湯を沸かす準備を終えたエイルがさっと木製のプレートの上に菓子を並べて俺の方へ持ってくる。