第247章 〈After atory〉虹
――――あぁ良かった。
ナナさんが生きてる。
リンファが命がけで守った彼女は生きていて、愛する者と幸せそうに今を謳歌している。ナナさんの幸せを願っていた兄ちゃんとリンファの想いが体中に満ちて、収まりきらず溢れたものが頬を濡らした。
体を放すと、ナナさんはハンカチで俺の頬を拭う。穏やかな表情で。
「リヴァイさん、もうすぐ帰ってきますから。どうぞ、中でお茶でも。」
「私が淹れる!!」
「えぇ、できるのエイル?」
「まかせて!!」
エイルがぱたぱたとキッチンに急いだ。
俺はナナさんの後ろから車椅子を押す。驚いた顔で振り返ったナナさんは、くすぐったそうに笑った。
「――――ありがとう、アーチさん。」
「ねぇ、どう?どうですか??美味しくできてる??」
エイルは俺の座っているソファの横から、後ろから、うろうろといろんな角度から俺が紅茶を飲むのをじっと観察している。
「そ、そんなに見られると飲みづらいな……。」
「あっそっか、ごめんなさい!」
エイルは恥ずかしそうに頬を染めて顔を手で覆う仕草をした。けれどもどうにも気になるのだろう、指の隙間からこっそりと……でもバレバレの状態で大きな瞳が俺を見ている。
――――それが面白くて、口元が自然に緩んでしまう。