第246章 愛 <完結>
「ほらエイル、向こうの海に……なにかいたぞ。」
「えっほんと?!」
エイルは目を輝かせて甲板の遠くに駆けて言った。
その後ろ姿を見送ったナナを車椅子から抱き上げて強く抱き締める。鼓動が混ざるその感覚が心地良い中で、溢れた感情を堪えられないかのようにぽろりと、ナナが言葉を漏らした。
「――――I love you ,Levi….」
「……今、なんて言った?」
「――――ザマアミロ、って。」
ナナが少し身体を放して、ニタリと何か企むような目を向ける。
「あ?何がだ。」
「もう二度と放さない。例えあなたが嫌がっても――――……一生。」
「怖ぇ女だな。」
ナナはふっと笑って、また俺の首にぎゅっと両腕をまわしてぴったりと隙間なく、俺に身体を預ける。
「――――私だけの、ヒーロー……。」
海風がナナの髪を揺らすと、まるで甘ったるい紅茶のようなナナの匂いが鼻を掠める。
「………ずっとこうしてたら、今度こそリヴァイさんに溶けてしまえるかなぁ……?もう二度と、離れないように。」
「―――もう溶けなくていい。今度こそ俺が二度と放さない。約束は守る。」
「絶対?」
「絶対だ。元より守れねぇ約束はしない主義だからな。お前は生涯守り愛し抜くと誓った、この世で最も大事な女で――――」
不自然に詰まった言葉に、ナナは俺の目を覗き込んでくる。