第20章 始動
「……うっ…………!」
「―――――――!」
「………あぁ悪い。足がすべった。」
這いつくばるその男の頭を足で踏みつけて、リヴァイ兵士長は殺気立った瞳を向けた。
「――――それでなくても、役に立つかもわからねぇクソみたいなお前らに訓練をつけなきゃいけねぇこの状況で、イライラしてんだ………。これ以上イラつかせるなよ………。」
「て、めぇこの野郎……!やりやがったな………!」
「だから、汚ねぇ口で喋るな……。」
歯向かう態度を見せるその男の口に、リヴァイ兵士長は足先を押し込んだ。
「……っ………?!」
あまりの迫力に、周りの男たちも後ずさる。
「いいか?お前らが今やることは、女に手を出す事じゃねぇ。せいぜい生きていられる時間を少しでも伸ばせるよう、死ぬ気で訓練を受けることだ。それがわからないなら――――――」
リヴァイ兵士長は刀身を抜き、彼の腕に突き付けた。
「――――わかりやすく、ここで巨人の餌として加工してやろう。」
「ひっ…………!」
取り巻きの男たちは、あたふたとその場から逃げ去った。リヴァイ兵士長が地面に押さえつけられた彼を離すと、彼もまた一目散に駆けていった。