第20章 始動
訓練を終えて、日が傾く頃。
私はいつも通り念入りに自分の装備の点検をしていた。私を空に羽ばたかせてくれる、大事な相棒だ。
今はいつもの装備は修理に出してしまっていて代替品だからこそ、自分に馴染むようにサッシュさんに教わった整備をする。
「ふう…………。いい、かんじかな。……明日もよろしく。」
私が装備を倉庫に戻し、扉を閉めると、一般市民兵の数名がこちらに近づいてくる。見覚えがあるその顔は、巨人学の時にグンタさんに抑え込まれていた彼だ。
「よぉ、何してんの?ナナチャン。」
「………装備の点検を。」
「へぇ…………そういえば聞いたんだけど、あんた戦闘はできないらしいな?」
「はい。私は団長補佐と医療に従事する立場なので。」
「そりゃあそうだよなぁ、そんな可愛らしい細い腕で、戦うなんてできねぇよな。」
………嫌な感じだ。じりじりと数名の男性が私を取り囲む。
「―――――要件は、なんですか?」
私は敵意を滲ませて相手を睨んだ。
「戦うことをしねぇんなら、せめて前線で身体を張る俺達を慰めて欲しいなと思ってよぉ!」
私の肩を掴んだ瞬間、彼は崩れ落ちた。