第246章 愛 <完結>
この先も、平穏無事が約束されているわけではない。辛いことだって、苦しいことだってあるのだろう。
――――でも……あなたとなら。
どんな世界だって生きていける。
キラキラ輝く、素敵なものだけの世界じゃなくても……、目を背けたくなるような現実でも。
――――あなたがいて……そして私の一番近くに、もう一人の彼の面影を濃く受け継ぐ存在がいてくれる。これ以上の幸せがあるだろうか。でも……リヴァイさんもまた私と同じで……今この時を幸せだと感じているのかな。ふと不安に思って……問いかける。
「――――リヴァイさんは今……幸せ、ですか?」
リヴァイさんのシャツの裾をつんつん、と引っ張って彼を見上げて問うと、彼は少し驚いた顔を見せてから………エイルをひょい、と抱き上げて、私を見つめてからエイルを見つめた。そしてまた私に目線を戻したかと思うと、一瞬頭の中で何かを考えてから、眉を下げて目を細めて……驚くほど穏やかに幸せそうに……目を軽く閉じて、笑った。
「――――呆れるくらいに。」
ふっと笑った顔が優しくて、朗らかで……あぁこの人はこんなにも柔らかい顔をするのかと、また何度でも私は彼に、恋をしてしまう。
こうやってこれからも……きっと毎日あなたに恋をする。きっと、何年経っても……ずっと、永遠に。その恋が成す形は、変わっていくのかもしれない。
抱き合ってキスをすることが出来なくなったら、手を繋いで見つめ合おう。手を繋ぐことができなくなったら、あなたのために愛の歌を歌おう。歌うことも、見つめることも触れることもできなくなったら……、ただ、側に。
それだけでいい。
そうやって変化していくことこそが、永遠に愛するということだって……ずっとずっと考え続けて、私はやっと答えを出したから。
そしてこうして今、リヴァイさんの隣で穏やかな気持ちで美しい空を見上げることができている。
「―――ねぇワーナーさん……私、ワーナーさんの夢、叶えられた気がする。――――笑ってくれてる?そこで。」
目を閉じてワーナーさんを想いながら小さく言葉にしたそれは、きっと……ワーナーさんに届く。
安心してそこから私たちを見ていて。
ずっとずっと手をとって、共に生きていくから。