第246章 愛 <完結>
――――ねぇワーナーさん。見てる?
そこから見て……あの柔らかい笑顔で、笑っているんでしょう?
あの手紙の一文……リヴァイさんについて書かれたそれを、当時の私にはうまく受け取ることができなかった。
……でも、たくさん傷付けて傷付いて間違って……大切なものを何度も何度も失って、埋め合ってぶつかって……また向き合って……それを繰り返して、同じ方向を見つめることができるようになって今やっと……この心臓を一生彼に繋がれる覚悟をした。
”私は幼かったリヴァイにあらゆることを教えてきた。
基礎的な教養、壁の中の世界の仕組み、生きるために必要なこと。紅茶の嗜み方。
だが一つだけ、私には教えられなかったものがある。
それはおそらくこの世でたった一人君だけが、彼に教えられるんだ。そしてそれは、君のことも大きく成長させ、輝かせる。
見つけなさい、2人で。
どんな困難があろうとも、どんな残酷な現実に打ちひしがれようとも。
その先にある美しい世界を君たちが肩を並べて眺めるその瞬間を、私は夢見ている。”
――――ワーナーさんが外の世界のことともう一つ、私に託したのはきっと……リヴァイさんに『愛』を教えることだったのだろうと、思う。
でも、ワーナーさんは十分『愛』を……教えてくれていた。
でなければ、あんな風に何度も愛を持って私を叱ったり……身を削りながらも私を導いてくれることなんて、できなかったと思うから。
リヴァイさんのお母様とワーナーさん、そしてケニーさんがリヴァイさんの中に小さく蒔いてくれていた『愛』という名の種が、もし……私といることで育って、花開かせることができたのだとしたら、私はワーナーさんに胸を張れるかもしれない。