第20章 始動
「改めてよろしくね。私はナナ。あなたは……そう、イルゼさんだ。」
「えっ…はい。……イルゼ・ラングナーです。宜しく……お願いします。」
柔らかな空気をまとう女の子は、そう言ってぺこりと頭を下げた。その横で、頬を紅潮させて私を見つめる男の子。
「オルオさん、このあいだはありがとう。ゲルガーさんを果敢に起こしてくれて。」
私が思い出し笑いをすると、ふわふわとしたくせ毛の彼はますます顔を赤くした。
「いえっ……、あの、でも……なんで、俺たちの名前……。」
「もちろん覚えてるよ?これから仲間になるんだから。」
「ナナはさ、最年少で医療免許とった才女なんだよ。なんでもすぐ覚えて、しかも努力家で、すごい奴なのさ。」
「ナナバさん、褒めてもなにも出ませんよ。」
ナナバさんが私の頭をぽんぽんと撫でる。
くすぐったいけれど、嬉しい。
私とナナバさんは一般市民兵と新兵を分け、それぞれに立体機動の指導をした。もちろん私は一般市民兵の皆さんを担当し、ナナバさんはより実践的な訓練を100期生に行う。私が頑張ってきたことが、少しでも役に立っていると思うと、それがとても嬉しかった。