第20章 始動
翌日の訓練ではようやく空き時間が作れたため、私はナナバさんの班に向かった。
新人の中で、ひときわ動きの良い人がいる。
あ、あれは――――――
「いいな、お前やるじゃないか!!」
「………どーも。」
「ナナバさん。」
「おやナナ、今日は入ってくれるのかい?」
「はい、微力ですがお手伝いを。」
いつぞやの私の巨人学の講義中についに起きなかった彼だ。
「あぁ、こないだの可愛らしいネェちゃんじゃねぇか。」
「ナナです。さて、今日こそあなたの名前を教えてください。」
「ゲルガー。宜しくな。」
ゲルガーさんは先日とはうって変わって、割と真面目な態度で訓練を受けている。
「ゲルガーさん、驚きました。もうすぐにでも飛べそうですね。筋が良い………。」
「そうか?そりゃ良かった。何もせず巨人に食われるのは御免だからな。」
歳の頃はナナバさんや私と同じくらいだろうか。
臆せずに堂々と話してくれ、兄貴肌と言った印象だ。
そんな彼とは対照的に、自由の翼を背負った100期生の新兵二人は一般市民兵に気圧されている様子で、少しビクビクとしている。
無理もない。
自分達より年上だが訓練経験が皆無な人たちと一緒に訓練をするのは、接しづらいところもあるだろう。
私は笑顔で二人に声をかけた。