第20章 始動
アウラと話すのは久しぶりだ。
仄暗く恨みがましい目で俺を見る。
「………抱いてよ。」
「あ?」
俺の返答を待たず、兵服を脱ぎ捨てていく。
俺は何の感情も抱かずにそれを見ていた。
「ねぇ、あの子とはしてるんでしょ?」
俺の手を、露わになった胸に押し付けたが、俺はその手を軽く振り払って話をする。
「やめろ。これを機に言っておくが、もうお前とは―――――――」
「――――――なんでよ!!!!」
アウラの目からボロボロと涙が落ちる。だが、俺にはどうにもしてやれねぇ。
「私なにも欲しがらなかったでしょ……?!愛のあるセックスも、リヴァイの気持ちも……っ!」
「…………。」
「それはっ、あんたが特別を作らなかったから………っ、あんたの中には、誰も入れないって……そう思ってたから……っ………なのに………っ………!」
性欲のはけ口に俺を使っていただけだと思っていたが、違ったのか。今になって気付く。
だが、だからと言って俺の何かが変わるわけではなかった。泣いて訴える様を、ただ、見ていた。
「…………セックスの時、抱き合うことすら、キスの一回すら……してくれないのに………、あの子のことは、なりふり構ってられないほど欲しいの……?!」
「………そうだな。」
「どうして……っ………私……っ、私だって、ずっとリヴァイのこと―――――――」
「………俺も八年前に出会ってからずっとあいつが欲しかった。――――やっと手に入れた。もう、逃がさねぇ――――――一生な。」
「―――――――なによ、それ………八年前……?………あんた………どうかしてんじゃないの………?!」
アウラは目を見開いて俺を見る。
「あぁ、俺はあいつに関してはどうかしている自覚がある。………お前は部下で、それ以上でもそれ以下でもない。わかったら服を着て、行け。」