第2章 変化
私の言葉に、母とリグレットさん、ハルでさえも驚きを隠せない様子だった。
「……それは……調査兵団として……ということ?」
母が恐る恐る尋ねた。
「まだ、わかりません。それが手段の一つならそうするかもしれない。でも、調査兵団に入って外に出たい、というわけではないんです。私が見たいのは、壁の外の更に向こう側。海とその向こうの国々。違う文化と違う人種の人たちを、知りたい。」
3人は絶句していた。
「お嬢様………壁の外に、人類はいないと……私の記憶ではそう学んだ覚えがありますが……。」
ハルが不安げな瞳を私に向ける。リグレットさんもまた、驚いた表情のまま固まっている。
「そうね。いないのかもしれない。でも、誰が確かめたの?私は自分で確かめたい。流れるように素敵なトーンで話す言語があったと、記録に残っているの。」
「あなた……そんな事をどこで………!」
私はワーナーさんから学んだ歌を歌った。
空気が静まり返った。
「………驚いたわ………ナナ。今のは、どういう意味なの……?」
「………木々は青々しく煌めき、赤い薔薇も花開く。僕と君のために命を輝かせている。僕は独り思う。なんて素晴らしい世界なんだろう。」
「……素敵ね………。」
母は微笑んでくれたが、ハルは何かにおびえるような顔をしていた。リグレットさんは、ただただ驚いている。