第242章 慟哭
「――――……兵長、あの……。」
アルミンのその表情から、何も言わずとも……リヴァイは察した。
「――――いい、わかってる。」
「――――……そう、ですか……。」
「――――………。」
しん、と静まり返るのはリヴァイがあまりに感情のない表情をしたからだ。
「あの、ヒストリア女王に掛け合えば……出国できます。兵長も……マーレにいらっしゃったら、どうですか……?」
「あ?」
アルミンの提案に、ジャンもコニーもアーチも、『いい考えだ』と身を乗り出してリヴァイの反応を食い入るように見つめたが、リヴァイは不機嫌そうに眉を顰めたままだった。
「行かねぇ。――――俺の帰る場所は、ここだ。……それより早く飲めよ。紅茶は香りが命だ。」
「……そう、ですか……。」
それから現在のマーレの様子……パラディ島の様子……それぞれの近況など、他愛もない話をしながら過ごした。
アルミンの提案がリヴァイの頭の中でちらりと浮き上がってくる。
そういう選択肢もないわけではない。
――――でも、この男はこの巣箱から……どうしても離れられなかった。