第241章 結末②
辺りが騒然とする。
外傷は修復しても……血液まですべて入れ替わるなんて奇跡は起こらなかった。
……まるでこれまで何とか保たせていたものが一気に押し寄せたかのように、ナナの体は病に食われ始めているように見えた。
俺の腕の中で、はぁはぁと呼吸を荒げて……見えているのかもわからないほどぼんやりとした目をしている。
血を流すその姿を俺に見られたくなくて……まるで死期を悟ると姿を消すという猫のように……さっきナナは、俺の前から消えようとしやがった。
自分の命ぎりぎりまで削って他人の怪我を診て……、やっぱりお前は何も変わらない。
自己犠牲なのか、医者としてのプライドなのか知らねぇが……それを俺は、許せなかった。
だってそうだろう。
――――俺にとってお前以上に大事なものなどこの世に存在しないのに。
いつでもお前はそれをないがしろにしやがって。
「いい加減にしろ!!ナナ!!冗談じゃねぇぞ……っ……!」
「――――………。」
ナナの呼吸がまばらに、更に荒くなる。
はぁ、はぁと半開きになって血まみれの唇から、今にも止まりそうな微かな呼吸が漏れる。
「なんで、なんで早くてめぇが助かる為に早く列車に乗らなかった?!早く街に降りていれば……っ……こんなことに、なる前に……っ……」
「――――………。」