第241章 結末②
「どうした?」
「っ……なんでも……!」
ナナは急に立ち上がると、顔を押さえて俺に背を向けた。
「なんでも、じゃねぇだろう。どうした。」
「私ちょっと――――外の、空気………」
「なんだナナ、おい。」
ふら、と俺に背を向けたまま逃げるようにその場を後にしようとするナナの腕を、引いた。
だが頑なに顔を背ける。
どくどくと、嫌な予感が俺の体を駆け巡って全身から汗が噴き出す心地だった。
ナナの足元に、ぽた、と一滴の――――
赤い雫が落ちた。
それを皮切りにぽた、ぽたぽたぽたと、真っ赤な痕が床に増えていく。
「―――――っおい!!」
ナナの肩を掴んで今度こそ逃げられねぇように捕らえてその顔を覗き込むと、青白い顔に朦朧とした目。
そして――――――
顔を押さえる手から溢れるほどの血が、流れていた。
鼻からの流血だ。
止まる気配がない。
命をこぼしていくように、真っ赤な鮮血がじわじわと、ナナの顔から首へと……流れていく。
――――全身の、血の気が引いた。
ナナは諦めたように……がくんと、俺に体を預けた。俺はその軽い体を抱きとめて、呆然とナナを見つめた。
「――――見、ないで、欲し…………」
「――――……っ……!」
「……綺麗、な……私、しか……見せたく……なかっ………」
「ナナ!!!」