第241章 結末②
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ぱたぱたとよく動くな、本当に。
マーレ兵の中の重傷者、軽傷者問わずナナさんは走り回っては、限られた医療物資を使って処置をしていた。俺やジャン、コニーはやはり巨人化して傷が修復したのか、無傷で……それよりもマーレ兵のほうに処置が必要な奴が多かった。アルミンがうまくマーレ兵の頭とやりとりをし、俺達エルディア人は囚われることはなく、マーレ兵の介抱を手伝いつつ順次機関車を使ってスラトア要塞から街へと移動を開始し始めていた。
兵長の怪我もナナさんがしっかり手当していて、兵長はようやく安らかな休息をとれているようだった。
ナナさんは兵長も重傷には違いないから、いち早く街の病院へと搬送しようとしたけど……兵長は頑なにそれを拒否した。
「大丈夫だ、問題ない。」
「大丈夫じゃないから言ってるんです、重傷なんですよ、リヴァイさんは。」
「他の奴らを優先していい。俺は最後でいい。」
「でも、その間に傷が悪化したりしたら――――」
あまりに話の進まないやりとりに、面白くなる。
俺は兵長を見てたからわかる。
兵長はずっとずっと、ナナさんから片時も目を離さずにその姿を追っていた。
わかってやれよ、ナナさんもたいがい鈍いな。
離れたくないんだ。
兵長は――――一時だって、ナナさんと。
可愛いとこあるな、この人。
「ナナさんと離れたくないからだって素直に言えばどうです?」
「――――あ?」
「え?」
「そういうことでしょ。」
「…………。」
否定せずに兵長は黙って俯いた。
ナナさんはきょとんとした顔をしてから、何かを企むように目線を上にあげて……それを思いついたと、パッと明るい表情で兵長の顔を覗き込んだ。
「じゃあ、もうすぐ私も全ての処置が終わるので……そしたら一緒に病院に行きましょう?」
兵長はナナさんの顔を見て愛おしそうな顔をしてから、一変して俺にちらりと睨みを利かせた。
「…………あぁ。」