第241章 結末②
アルミンが遠くを見つめたその目は強く綺麗で、輝く金髪と青い瞳にエルヴィンが重なる。
ずっと……愛する人を自分が奪ったと思わせて……私の存在はアルミンを苦しめていた。
アルミンは何度、エルヴィンではなく自分が生かされたという重責に押しつぶされそうになってきただろう。それに耐え抜いて今……彼は自分が生きる意味を、見つけ始めている。
アルミンだからできること。
それにまっすぐ向き合うその姿が眩しくて……私は心の底から言える。
「――――あなたがいてくれて、よかった。アルミン。」
私の言葉にアルミンは少しだけ目に涙を滲ませて、そしてふっと、ほんのわずかに小さく笑みを見せた。
「まだまだ、これからです。」
「うん……どうか、みんなを……よろしくね。……そして……アニとも仲良くね。」
「!!」
「ふふっ。」
私の最後の一言に、アルミンは顔を真っ赤にして、今までの凛とした表情が嘘のように慌てていた。
「なっ、なんでわかるんですか……!いや、別にあの…っ……。」
「見てればわかるよ。アニがアルミンを見てる目が……全然違うから。」
「…………!」
「私嬉しいの。こうやって……変わっていくんだね、世界も……私たちも………」
私は空を仰ぐ。
「ナナさん………?」
見上げた空は美しかった。
澄みきった蒼。
そこから……徐々に赤や黄色、紫と極彩色が射して……ぐるぐると、渦を巻いていく。
神様は優しいのか、残酷なのかわからない。
これからの私たち次第ってことなのだろうか。そう何度も奇跡は起こしてくれない。
――――だめ、まだ……私にはやらなきゃいけないことがある。