第241章 結末②
ガシャン、とすべての立体起動装置や刃、武器を捨て去って――――、アルミンは堂々と言った。
「こちらがまだ巨人の力を有しているのなら、巨人の力を使って抵抗するでしょう。ですが銃口を向けられた今も無力な人のままであることは我々が人である何よりの証明です。」
その背中は強く頼もしくて……私には、エルヴィン団長や……ハンジ団長のその背中と、重なって見えた。
「――――君は……?」
アルミンの言葉と姿勢は、マーレ兵の銃口を……下げさせた。
「パラディ島のエルディア人、アルミン・アルレルト。 “進撃の巨人”エレン・イェーガーを殺した者です。」
アルミンの交渉があったから……救われた命は多大にあった。もしあの時……下手に抵抗していたら、その場で銃殺されていたエルディア人がいても、おかしくはなかったから。
リヴァイさんだけでなく、マーレ兵の中にも怪我を負っている人もいる。彼らに処置を施させてくれるよう、マーレ兵を説得してくれたのもアルミンだ。
一人でも多くの命を救う。
もともと、私はそのために……調査兵団に来たんだ。
額の汗をぬぐいながら、駆けまわって処置をして、重傷者から機関車に乗せて街の病院へと搬送していく。
おおよそ終えたところで、その頼もしい背中に声をかけた。
「――――アルミン、ありがとう……。」
「ナナさん。こちらこそ……たくさん診てもらえて、救われた人が多かった……ナナさんがいてくれて、よかったです。彼らの命、という点ももちろんですが、パラディ島の僕たちがマーレの人々の命を救うということは、これからの歴史にも大きく意味を持ってくるはずだから。」
「……そうだね……。あなたがいれば、この先のパラディ島もきっと、大丈夫だって……思える。」
「いえ……でも、頑張らなければ。――――後悔させない、誰も。僕自身も。」