第241章 結末②
「――――兵長を、診てやって。」
「はい!もちろん。」
「離れるなよ、もう……二度と。」
「――――はい……離れたく……ないです。」
私の表情を見てアーチさんは、また少し表情を曇らせたけれど……私がにこ、と笑顔を見せると、ふいっと顔を背けて……行ってしまった。
それから、飛行艇から運び出されていたオニャンコポンさんを手当した。怪我は軽くはなかったけれど、マーレの医療技術があれば通常の生活に支障のないまでの回復は間違いなくできるくらいだった。
リヴァイさんは満身創痍の上でさらに体のあちこちを酷使していて……見るに堪えないくらい痛々しかったのだけれど、これからはもう戦う必要はなく……日常を安らかに過ごす分には、何の支障もないだろう。
たくさんたくさん身を削ってきた最愛のこの人が、安らかに過ごせる毎日を早く……取り戻したい。
それを一線で成そうと動いてくれたのが――――……なんとも頼もしい背中を見せてくれる、アルミンだった。
巨人の脅威は消え失せたけれど、積もり積もった人間同士の諍いはそうそうすぐに消えて無くなるわけじゃない。巨人が消えてすぐ、マーレの兵士たちは私たちエルディア人に向かって銃を突きつけた。『巨人でないと証明しろ』と。
――――やはり彼らはまだ、怖いのだ。
それはそうだ、目の前で巨人に変わるのを目にして……『今からはもう巨人になりません』と言われたとて、誰が疑いもせずに握手を交わすだろうか。
それはわかるけれど……その恐怖を払拭して、歩み寄らなければ……何も変わらない。