第241章 結末②
『――――大好き。エレン。』
『………!』
『――――大好きだよ。嫌いになんて、なるわけない……。エレンがどれほど苦しみながら、今この道を突き進んでいるのか、全部は理解しきれていないけど……少しはわかってる、つもりだよ……。』
『俺、は………』
『辛かった?苦しかった?痛かった?教えて。ここには、私とエレンしか……いないから。エレンのしんどいものを、少しでもわかりたい。』
心の膿を吐き出すように促すと、エレンは私の背に回した腕にぎゅっと力を込めて、体を震わせた。
『――――本当は……俺が知らないだけで、それぞれの生活と……、愛する人と……、思いも、あって……っ……!』
『――――うん。』
『――――俺はそれを……っ……ぐちゃぐちゃに踏み潰して、最悪の恐怖を与えて、殺した……!』
『――――苦しかったね……。』
『うわぁああああああ……っ………』
――――この空間に、時間の流れが存在しなくてよかった。
泣き叫び続けるエレンをひたすら抱いて、落ち着くまで……エレンが自分を許せるようになるまで、頭を撫で続けた。
『――――あれ……?エレン……。』
私の腕の中で泣いていたエレンは、泣き止んだかと思えば……むくりと大きな体を起こした。
さらりと、黒髪が揺れて……目の前に、大人の男性の……今のエレンが、いた。思わず抱きしめていた腕を解いて、距離をとろうと少し後ろにのけぞった私の腕をエレンが掴んだ。
『そうやってすぐ、逃げるなよ。』
『……っだって前科があるよ……この姿の、エレンは……。』
『前科って。』
エレンはふっと笑った。