第240章 結末
やっぱりお前は綺麗で。
大きな濃紺の瞳に俺を映して、両手を広げて俺を胸に抱く。
――――あぁ、俺の……癒しの女神だ。
その胸に還ると、戦い抜いたことを誇れる気がするんだ。
間違っていなかったと、思える。
こうしてここに帰ってきた。愛しいお前の元に。
ナナに抱かれて、ナナの腰を折れそうなほど強く両腕で抱きしめる。
「――――ナナ……ッ………!」
「――――リヴァイさん………っ……!」
ナナは俺の髪を撫でながら、耳元で囁いた。
「――――見て、リヴァイさん。」
「…………?」
ナナが少し俺の腕を解いて、振り返った先を指さした。靄が晴れていく、その中に……いくつもの自由の翼が見えた。
「――――よぉ、お前ら……。」
そこにはエルヴィンとハンジ、ミケ、ナナバやモブリット、サッシュにリンファ、ペトラにオルオ……心臓を捧げて俺たちをここまで繋いで導いてくれたあいつらの姿が見える。
「見ていてくれたか?これが結末らしい。お前らが捧げた……心臓の……。」
満面の笑みで笑ってはくれない。
それは……あまりに失ったものが多いからか、俺のこの情けねぇ姿に同情してか、それともまだ完全に終わってはいない、これからこの世界でパラディ島はどう生きる道を探していくのか……問題は山積していることへの憂いか。
「――――見届けたらもう、行ってしまうんですか……?皆さん……。」
ナナが涙を流しながら小さく、言った。
あいつらは心臓にとん、と拳を当てて……やがてそこから、消え去っていく。俺もナナもそれに応えるように、心臓を捧げる敬礼をした。
ほとんどの奴らが消え去った中で……エルヴィンだけが、一度背を向けてから……名残惜しそうに目を細めてナナの方へと振り向いた。