第240章 結末
忘れたかった。
忘れられるものならとうに……忘れてる。
あなたが私を嫌いだったと言った日から……あのマフラーを巻いてくれたエレンの優しさも全てが嘘だったとしたなら……それを考えるのが怖くて怖くて、マフラーを巻くことをやめた。
でも、変わらなかった。
マフラーを巻いていようがいまいが、あなたへの想いはずっと変わらない。
――――間違いなくエレンを、好きだから。
家族としてじゃなく、エレンを……愛しているから。
忘れることなんてできない。
大好きなあなたのお願いでも、それだけはできない。
その想いをを封じてしまったら……忘れてしまったら……私は私でなくなるから。
「ごめん。できない。」
エレンの望みを拒否して、揺るがない想いを形にするようにシャツの下……腹部に巻き付けていたマフラーを取り出し、首元に締める。
この想いを我慢しない。
誤魔化さない。
――――だから、あなたが守りたいもの、果たすべきと信じたものを誰よりも理解して、それを共に果たそう。
あなたの覚悟を、愛し方を……私は受け入れて刃を振るう。
「エレンは口の中にいる。」
わかる。
呼んでる。私を。
――――待ってて。すぐに行くよ。
「私がやる。みんな協力して。」
不思議と、エレンを殺すことが怖くない。
躊躇いもない。
――――だってこんなにも、通じ合ってると思える。