第20章 始動
「あぁクソ、うるせぇな!!昨日の酒が残ってんだよ、寝かせろよ!」
「お酒が残っているのは感心しませんね。そんな状態で訓練に出たら、下手したら死にますよ。壁外に出る前に。」
「あーーーー?あれ、なんか可愛らしいネェちゃんに変わったのか?」
「ナナ・エイルです。あなたは?」
「………寝る………。」
「………もう、じゃあもうあなたは寝てていいです。後で補習です。……では続けます。」
先が思いやられる………と少しため息をつきつつも、講義を続けた。私は特別巨人の生態に詳しいわけではないが、ハンジさんとたくさん研究の話をしておいて良かった…そう思いながら、私は新兵の皆さんに向かって要点を伝え、何とかその時間を終える事ができた。
それ以降のカリキュラムは、私は今後のみんなの予定や必要物を整理するために立ち会うことはできなかった。
いつもよりずいぶん賑やかな夕食。食堂は大勢の兵士で賑わっている。
私はいつものようにリンファとサッシュさんと共に机に着いた。
「はぁ………。」
「なに、珍しいじゃんナナがため息つくなんて。」
「……なんだかいつもと違う疲れが………。」
「そういや、ハンジさんが兵士長につまみ出されてから講義代わったんだろ?どうだった?」
サッシュさんが大きな口で食事をほおばりながら私に問いかける。
「はい……もともと私なんかに勤まるものではなかったのかもしれませんが、聞かないし、寝るし、大変でした。」
私は少しのスープを口に運んだ。
「……先が、思いやられるなぁ。」
私は疲れていたからか、その時向けられていた嫌な視線に気付くことができなかった。