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【進撃の巨人】片翼のきみと

第239章 不帰







「……ミカサ!!ピーク!!ファルコに乗れ!!ここから離れる!!」



「兵長?!」



「何を……言ってるの?」






両親との再会を果たして歓喜に抱き合って涙を流していたピークが、呆然と俺に問う。









「アッカーマンと巨人の力を持つ者は例外だろ。何をすべきかお前が一番わかってるはずだ。」









――――その言葉はピークに向けてじゃない。




ナナを諦めて、俺が俺自身をなんとか動かすために自分自身に言い聞かせた言葉だ。



そうだ、俺はまだ自らの役割を放棄してはならない。

エルヴィンに誓った。

あいつらの心臓に誓った。

ナナ一人を守り生きていくなんてことは所詮夢物語で……俺はどんなに残酷な選択でも、できる。





――――この世で最も大事な女が死にゆく時すら、見届けてやれなくても。

共に生きていくことも諦め、

俺の腕の中で死なせてやることも諦め、






人類にとって最善の選択をする。







「……そんな……そんなのあんまりだよ。」





「早くしろ!!!!」







俺が尋常でない様子で叫んだからか、アーチが無理やりピークを両親から引きはがしてファルコの背に乗せた。ピークはまるでガキみてぇに、最後まで抵抗しながら泣いて両親に縋っていた。

そんな風に泣いて、叫んで……それが許されるのなら……それで何かが……変わるのなら、俺もそうしよう。



だが何も変わらない。



この世界は残酷で、更に神様とやらは本当にクソほど意地が悪い。



お前がそこから……神様とやらさえも手玉に取って……俺に試練を与えてんじゃねぇか?



なぁ……エルヴィン。






ファルコの背に乗ってその場を飛び立ってすぐ、俺たちは絶望に近い光景を目の当たりにする。

スラトア要塞から無数の巨人化の発光が乱発して……生み出された大量の巨人が、エレンを加勢しようとアルミンの方へと進軍していく様子だ。






――――見たくない。






見たくなかった。






嘘だと言ってくれ。










巨人にしては小さな体でうずくまっていたその個体は……特徴的な白銀の髪をなびかせて、むくりと、起き上がった。










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