第238章 光芒
「っ!!!や、っべぇ、さすがに……!」
アーチさんが言葉を漏らしながらも、俺たちを守るように目の前に陣取って巨人に刃を向ける。
――――その背に、サッシュ隊長が重なる。
訓練兵団に新兵勧誘のためにリンファさんとナナさんと一緒に来た……目つきが悪くてちょっと意地の悪そうな、でも……とんでもなく強くかっこよく見えた男。
巨人の模型のうなじを削ぎ切って舞った背の自由の翼を、今でも俺は覚えてる。
その背が、今アーチさんの背に重なって見える。
いるんだな、弟の傍に……いつも。
だからアーチさんはこんなに強いのか。
悔しいけど……この兄弟もまた、すげぇ人達だ。
ピークをどこか安全なところに移して、早く加勢を―――、そう思った瞬間に見た光景に、俺は目を疑った。
顎の巨人が、アーチさんに襲い掛かろうとする大型の巨人のうなじを、背後から食いちぎった。
「……ッガリアード……?!」
アーチさんは顎の巨人の中の奴と思わしき者の名を呼んだ。
知りあい、だったのか。
そしてそのすぐ隣……顎の巨人の髪を黒くしただけのような、姿かたちはそっくりなもう一体の顎の巨人と思わしき個体が、別角度から俺たちを狙っていた巨人のうなじを食いちぎり、また別の巨人の目を鋭い爪で掻き切った。