第238章 光芒
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「なんだ?!」
動揺の声をあげるジャンと抱えられたピークのところに合流すると、ジャンに抱えられたまま、ピークが目を潤ませて2人の名を呼んだのが聞こえた。
「ポルコ!!マルセル!!」
「あの2体、似てるよな……あいつら、なんだ?ポルコって誰だよ。あいつはガリアードだろ。」
俺たちの周りの巨人を次々に2体の顎の巨人が倒していく。ピークは小さく震えて、涙目で……その2人のことを一言、語った。
「ファルコの前の顎の巨人ポルコ・ガリアードと……その前の前マルセル・ガリアード。2人は……兄弟。」
――――兄弟。
あぁ、だからか。
俺がお前に必要以上に親近感を抱いたのは。
「――――ガリアード。……いや、ポルコ。」
ポルコは……今度はあいつ自身の意思があるようで……、周りの巨人を一掃したあと、ほんの一瞬の静寂の合間に俺の方に目を向けた。
「ありがとな。お前、強いな。」
“――――………。”
「でもな、俺の兄ちゃんの方がもっと強い。」
“言ってろよ。俺の兄貴の方がすげぇよ。”
――――そんな風に、聞こえた気がして……俺はこんな時に……なんだか少し、笑ってしまった。
「よし、ポルコとマルセルと……ユミルが助けてくれるこの隙に……今度こそエレンの頭を吹っ飛ばすか、ジャン。」
「……っ……はい……!」
「私ももう、行けるよ。」
まだ切断されて治りきってない修復中の腕を抑えながら、ピークが言う。ナナさんもピークもガビも、ミカサもアニも……サシャもそうだった。調査兵団に関わる女はなぜどいつもこいつも強情で……諦めが悪くて……守りたいものを意地でも守る、そんな強さを持っているのだろう。
「無理するなよ。女のくせに。」
「……女性蔑視発言はモテないよアーチ。」
「……別にモテたくない。」
「そう?ウブなのね。」
「うるさい、行くぞ。」
「言われなくても。」
俺たちはまた前を向いた。
今度こそ止められる。
見てろよ。リンファ。兄ちゃん。
――――ナナさん。
あんたの元に、ちゃんと兵長を……返してやるから。
あんたも、死ぬなよ。