第238章 光芒
「……それは。」
ジークさんが初めて、僕に興味を示した。いや、僕にじゃない。僕の持つ、枯葉に、だ。
「これは……砂に埋まってました……。」
「……なぜそれが……。」
「さあ……でも……僕にとってこれは……増えるために、生きるために必要でも何でもないけど……すごく大切なものなんですよ。」
その枯葉に、ジークさんもまた何か大切ななにかを思い出したのか。そのあとに続けたジークさんの言葉は、少し僕には違和感があって……そう、ここは “道” 。常識など覆される空間だ。もしかしたら……ジークさんの目には、何か違うものに映っていたのかもしれない。
「あぁ……そうだ。ただ投げて。取って……また投げる。ただそれを繰り返す。」
僕はそっと、ジークさんが目を細めて愛しそうに見たその手に掴んだ何かを、ジークさんに手渡した。
「何の意味も無い……でも……確かに……俺は……ずっとキャッチボールしてるだけでよかったよ。」
そう呟いたジークさんの背後には、無数の人影があって……ジークさんのかけていた眼鏡と同じ眼鏡をかけた、優しそうな男性や……エレンのお父さん。
ユミルまで……ジークさんに感化されて、ここに集まってきたのかもしれない。
そんな僕の背後に、彼もまた、いた。
振り向いて見上げた彼に、僕はなんて言葉をかければいいのかわからなかった。
虫のいい話。
都合のいいお願いだとわかってる。
だけどそんなこと言ってる場合じゃないんだ。
みんな、戦ってる。