第238章 光芒
「考えろ。本当に死んでるなら脳に酸素が回らない状態でなぜ考えることができる?ここは……夢でも幻でも死後の世界でもない……。ここは “道” 。ここは現実だ!!」
僕がそう気づいたから現れたのか、僕に見えていなかっただけで最初からそこに在ったのかはわからない。
気づけば僕の目の前には、すべてのユミルの民をつなぐ、巨大樹のような “道” があった。
「……僕は巨人の口の中にいるはずなのに、なぜかみんなの状況がわかる……。……エルディア人がみんな “道” を通じて繋がっているから?……それなら……何か……ここでできるかもしれない。」
――――僕に今、できることは。
「そうだ。考えろ……考えろ!!」
それもまた唐突だった。
いつからそこにいたのか……僕のすぐ背後に、子供のように背中を丸めて座り込み、砂をいじる金髪の男性。
僕は意を決して、彼との対話を試みた。
「こんにちは。ジークさん。」
彼の正面に回り込んで、目線を合わせるように膝をつく。ジークさんは虚ろな目のまま、僕を見上げた。
「こんにちは。エレンの友達。君もユミルに食われたか……。」
その虚ろな目の奥に僕は初めて、本当のジークさんを見た。