第238章 光芒
「僕はお前が嫌いだ!!ずぅうっとお前は!!僕を裏切り続けてきた!!」
なぜ僕が生きてる?
こんな役に立たないのなら、あの日僕が唯一頑張れたと思った、身を焼かれながらもエレンに超大型を仕留める機会をもたらせた、あの時にそのまま死ぬべきだった。
それをこんな風に……やっぱり他人の……兵長の選択のせいにしている自分もクソ野郎だ。
大っ嫌いだ。
「もらった命も!!期待も!!責任も!!何も!!何一つ!!何にも返せなかったじゃないか!!」
僕が僕を生きて、よかったと自分で思えるように、周りからも思ってもらえるように生きると誓ったのに。
今の僕を見たらナナさんはなんて言う?
『こんなことになるなら、エルヴィンを返して貰えばよかった』って言う?
エルヴィン団長はなんて言う?
『君には失望した。』と言うのか?
兵長は――――、エレンは、ミカサは……。
考えれば考えるほど惨めで、死にたいほど惨めで……苦しくて、僕は取り乱して床に伏せ、何度も拳で地を打った。
「なんで死んでんだよ?!動け!!動けよ!!!!」
こうしている間にも仲間が、誰かが死ぬかもしれない。間抜けに捕まった僕を助けるために、誰かが死ぬかもしれない。
ドン、ドン、と拳で地を打った。
にしては、拳から血が出ることもない。なぜか柔らかくその衝撃が吸収されるような……そんな感触がして、固く握った拳を開いてみると……そこには、初めて見た海で足をとられた、砂が握られていた。
「………砂……?」
あの日見た真っ青に遠く水平線まで続く海とその先で交じり合う空。その光景がありありと思い出されて、僕に一気に冷静さを取り戻してくれた。