• テキストサイズ

【進撃の巨人】片翼のきみと

第238章 光芒




――――――――――――――――――――



僕はそこにいるのに。



まるで傍観者のように、仲間が戦い、ひたすら傷ついていくのを見ていた。

目の前に横たわるのは僕自身だ。

僕が目を閉じ、眠ったように目の前にいる。どうして戦わない?動けない?またここで……何もできず、目の前で大切な人を失うのか?



あの日の絶望。

目の前で、エレンが食われたあの日から僕は何も変わってないのか。所詮僕は僕のままで、ただ見ていることしかできないのか。

強くなんてなれなかったのか。

もう残っている力もないであろうライナーが、まだ諦めずに鎧の巨人を纏って戦鎚とやりあってる。

ピークだってもう、何度巨人化して……体を削がれて捥がれた?それでもまだ歴代の巨人に食らいついている。

生身の体で、傷だらけで刃を振るうジャン、コニー、ミカサ。それに……アーチさん。

戦いたくないと言いながら、その体を呈して僕たちを援護してくれているアニ。

――――まだ幼いガビとファルコ、そして……僕を生かす決断をした兵長。




兵長は呆れているかもしれない。

なぜ僕を生かした選択をしたのか、エルヴィン団長を生かせば良かったと――――、後悔しているかもしれない。ナナさんだってそうだ。



失望させるなと兵長は言った。

僕は誓った。

誰も失望させない。僕自身も。



そうでなきゃ……僕は……僕は本当に自分を二度と赦せなくなる。







「みんなが!!死んじゃうんだよ!!起きろよクズ!!!ゲス野郎!!!役立たず!!!」







屍のように横たわる僕自身に、思いつく限りの罵声を浴びせる。

いつもそうだ。

肝心な時に役に立たない。

僕は何もできない。

エレンやミカサが僕を信じてくれていても、心の奥底でずっとこんな風にいじけている自分がいるんだ。


/ 3820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp