第20章 始動
「可愛いねぇ~!もっと違うこと教えてくれよ、ナナちゃん。」
「…………。」
私は無視して講義を続ける。
「おいおい、無視すんなよ。俺らはお前たちの給料になる税金払ってんだぜ?サービスしろよ、サービス。」
「そうそう、実技で教えてくれよ。ナナちゃんの身体でさ?」
野次が徐々に大きくなる。私はバシッとテキストを教壇に叩き付けて、彼らを見据えた。
「………ちゃんと聞かないなら、死にますよ?」
「………へっ!はなから殺すつもりだろうがよ、上の奴らは。」
殺伐とした空気が流れる。
「―――――では死にたい人は聞かなくていいです。が、せめて邪魔はしないでください。」
「はぁ?なに指図してんの?」
「―――――置かれた状況を変えようともしない、この場でつまらない威勢を張ることしかできない人に、割く時間はありません。聞かないなら黙って巨人の栄養にでもなってください。」
「――――――あ?」
私に怒りの表情を向けた男性が、私の方に歩み寄ってきた。リヴァイ兵士長が怒った時に比べたら、全然怖くない。
そう思った時、通路に突然伸ばされた足に、その男性は躓いて派手に転んだ。
「っ………?!」
「あぁすまない。くっだらねぇ男だなと思ったらつい。」
大きな身体とはそぐわないような、私よりも年下に見えるその男の子は口を開いた。