第20章 始動
今まででこんなに大勢の人がいる訓練場を見たことが無い。
年が明けて、調査兵団は一般市民と第100期生の合わせて133名と一緒に訓練を行うことになった。
初日。
今日は諸々の手続きなどを済ませ、午後一番でハンジさんの巨人学の予定だ。
私は心配で教室の隅からその様子を見ていたが、案の定半分の時間が来たところで予定の4分の1も終わっていない。やはり熱が入ってしまって止まらなくなってしまった、どうしよう………と困っていると、なんの予告もなく急にリヴァイ兵士長が入ってきた。
突然の人類最強の登場に、部屋がざわつく。
「おいクソメガネ。てめぇ全然予定通りに進まねえじゃねぇか。誰が研究の詳細を全部喋れと言った?」
「あぁリヴァイ!だってさ、ごらんよみんなの興味深々な表情を!話してやりたくもなるじゃないか!」
「………これが興味深々な顔に見えてんなら、まずはてめぇが病院に行くところからだ。」
ハンジさんは無理やり教壇から引きずり降ろされ、どこかに連れ去られてしまった。リヴァイ兵士長からの「残りはお前がやれ」と言葉を残して………。
この空気をどうしろと……と思ったが、やるしかない。
仕方なく私が教壇に立つと、またなんとも心地よくない視線が降り注ぐ。
「―――――では、ここからは変わって私、ナナ・エイルがお教えします。みなさんの生死に関わる内容です。しっかり理解し、覚えてください。」
私が黒板に文字を書き始めると、野次が飛んだ。