第238章 光芒
なぁ……お前達が捧げた心臓は他の心臓を踏み潰すためにあったのか?
違う……俺たちが夢見た巨人のいない世界は、呆れるほどおめでたい理想の世界だったはずだ。
――――命を奪うことも奪われることもなく、ただ愛する者と美しい世界で生きていく。そんなちっぽけで、大それた夢だったはずだ。
そうでなければ、あいつらの心臓と見合わない。
エルヴィン。
お前は何を夢見ていた?
ガキの頃から父親と追った仮説を証明して、ナナと夫婦になって、すべてが繋がった世界でナナの手をとって……異文化に2人目を輝かせながら世界中を旅しては、同じ景色を見て、同じものを食って、同じ時を共有して……その命尽きるまで、ナナと共に在ることか?
俺は―――お前を選ばなかったことに……悔いはない。
……お前らと同じ目をしたアルミンに未来を託したことを後悔してない。
正解はいつも誰にもわからない。
……だが、僅かに心の奥が陰る。
……この戦いが終わった時―――――お前に捨てさせた夢と未来に適うほどのなにかを、残せているのだろうか。
……俺は、その目で何を見ている?
ナナは、その目で何を見ている?
そしてお前は、何を思う?