第238章 光芒
再びファルコの背から、エレンの元に班を分けて降り立った。頭骨のほうであがくピークの元にライナーとジャンとアーチを行かせて、エレンの首に巻き付けた起爆装置を押すことを最優先に遂行させる。
同時に、ファルコの背から数百にも及びそうな巨人を見下ろしつつその中から牛頭の気持ち悪ぃ巨人を見つけ、尾骨のほうへ追い込む。追い込んだ後にアニとコニーとミカサでアルミンを救出させる。
――――俺はガビとともにファルコの背に乗ったまま、目を凝らしてエレンとジークのクソ野郎の動きを見張る。
頭骨のほうで何度も巨人化の発光が見える。ピークとライナーがなんとかジャンとアーチを行かせようとしているのだろう。
続いて尾骨のほうでも発光があった。対象を見つけたアニが巨人化した。皆命を懸けて最後まで、戦おうとしている。そんな中俺は、私情に突き動かされてそこにいた。
後にその瞬間が冷静であったか?と問われれば冷静であったと言えるだろう。
冷静ではあった。
だが……その思考の根底に、己の自己満足をどうやって叶えるかが確かに存在していた。
ナナが言っていた……エルヴィンが死を意識したときに “心変わり” したことを、なんとなく理解できた。人類の命を尊び守るという大義よりも何よりも俺を動かしていたのは、あいつとの約束だった。
ジークを必ず、この手で殺す。
そして、ナナを頼むと。
あいつの命令をしくじったことは無かった……一度も……なのに……あいつの最後の命令だけがなぜ……。
みっともなくズタズタの体で、アーチにまで心配されて……今満足に戦える力も、もう残っちゃいない。
俺たちの役目は……ガキどもを海に届ける、そこまでだったのかもしれない。