第236章 死線
「僕の攻撃を想定しているエレンがこれで死ぬとは思えない!!でも……この骨をバラバラに吹き飛ばせばエレンやジークの位置が分かるかもしれない!!」
アルミンの返答にミカサは不本意そうな表情を崩さなかったが、なんとか了承したようだ。
「ミカサ!行くぞ。」
アルミンを一人残して、なるべく爆発の被害を受けないところまで離れようと試みる。
アルミンに全員が背を向けた、その一瞬だった。
嫌な予感がして振り返ると――――、アルミンが得体のしれねぇ中型の巨人に飲み込まれていった。
――――エレンが巨人を操っているなら、アルミンを食わせることはしないはずだ。だが、巨人化をさせねぇつもりか。
「―――ちっ……!」
アルミンを飲み込んだ頭が牛のようで体は人型の珍妙な巨人は、素早い動きでエレンの尾骨の方へと走り去って行った。
「あいつが頼りだってのに……!おい、追う――――!!」
いち早くアーチがアルミンを追おうと方向を変えた。だが、異様な状態に気付いてその足を止めた。俺達の目の前に……次々骨の隙間から精製されていくのは、数々の巨人たちだ。
どれもこれも姿形が違う。
――――嫌な、感じだ。
無垢の巨人じゃねぇ。
明らかにこちらの出方を伺っている。
――――戦える奴らだ。
ライナーを囲むようにじりじりと数体の巨人が間合いを詰め、多方向から同時にライナーに仕掛けてきやがった。ライナーが攻撃を食い止めている間に、背後から雷槍を撃ち込む。
「どうする?!雷槍はすぐに尽きるぞ?!――――っていうか!!アルミンは生きてんのかよ?!」
コニーの言う通りだ。雷槍には限りがある。無尽蔵に生み出される巨人にいちいち使ってちゃ、俺達の攻撃物資が切れて終わりだ。
そしてこの状況。控えめに見積もっても最悪だ。
頼みの綱は超大型の爆発だが、それを使えるアルミンは連れ去られた。唯一救いなのは、死んではいないってことか。
「少しでも傷があれば即座に巨人化したはずだ。つまりは傷一つなく捕獲されている。だがエレンのケツの方に連れ去られた。無数の巨人に通せんぼされてな……。」